HOME
WHAT'S NEW  (更新情報)
Plaza Gallery  2025年7月5日(土) – 8月3日(日)の展覧会として、日記のような  日本大学芸術学部美術学科助手展  のスケジュールを追加しました。(2025年5月3日)
CURRENT  (現在会期中・今週からの展覧会)
Related Exhibition of TAM
4月5日(土) – 6月29日(日)  11:00 – 18:00
休廊日:月・火・水曜日

絵画のなかにいる天使をさがしながら


(左)Klaus Pfeiffer、(右上)白根光夫 、(右下)坂口登

○出展作家:
Klaus Pfeiffer、Roberto Matta、深尾庄介、鬼頭曄、白根光夫、Jan Voss、岸田淳平、坂口登、堀浩哉、吉永裕、菊地敏直、Christian Rothmann、中津川浩章、Gastón de Gyves、Klaus Killisch



クラウス・ファイファールの描く天使は、中空に張られたロープのうえに、慎重に左足を下ろそうとする姿で描かれています。飛ぶことを禁止されたかのように、羽根と手首とが結びつけられているためですが、その眼は遥か遠くを見通すことはできず、自身の足元に向けられています。
美術が宗教を離れて以降、天使を描く意味も変化しました。もっとも有名なのはパウル・クレーの描いた天使ですが、それはヴァルター・ベンヤミンに「歴史哲学テーゼ」を書かせ、ヴィム・ヴェンダースに映画「ベルリン・天使の詩」をつくらせることになります。ファイファールの天使も、おそらくは、クレーの天使の系譜にあるのでしょう。
しかし、それぞれの天使が伝えるものは異なります。戦争に向かう破局的状況のなかで無力さを噛みしめるベンヤミンの天使、冷戦時代のおわるときに人間社会へと降りてくるヴェンダースの天使、そして、新たな秩序のなかで未来を見通せずにとまどっているファイファールの天使。このファイファールの天使は1989年以降(ポスト冷戦時代)の世界を生きる私たちの姿とつながっているようです。競争原理がむき出しになった世界で、そこから一歩引き下がって、自分の居場所を確かめようとする姿にです。
本展の出品作品からは、共通して、そのような天使の姿を感じることができるように思われます。直接には描かれないとしても、絵画のうちにそうした天使を住まわせているように感じられるのです。それらは、私たちを超越するようにあるのでも、声高に主張を述べるのでもありません。先の見通せない時代を生きる私たちに寄り添うように、慎ましくたたずんでいるのです。
この展覧会で、絵画のなかにいる天使を探しながら、私たちの生きる時代についてもう一度考えてみませんか。

藤井匡(東京造形大学教授)



○会期:2025年4月5日(土) – 6月29日(日)
○開館時間:11:00 – 18:30 (入館18:00まで)
○開館日:木・金・土・日曜日
○休館日:月・火・水曜日
○入場料:一般 500円 / 大学・高校生 400円 / 小中学生 300円
○会場:東京アートミュージアム

○主催:東京アートミュージアム
○企画:一般財団法人プラザ財団

2025年4月5日(土) – 6月29日(日)
休館日:月・火・水曜日
UPCOMING  (次回の予定)
日記のような
日本大学芸術学部美術学科助手展
ABE Nanako, KOBAYASHI Saki, SUZUKI Shiho


○出展作家:阿部七菜子、小林紗己、すずきしほ

日本大学芸術学部の美術学科で助手を務める三人の展覧会です。展覧会タイトルは「日記のような」としました。ここでの日記とは、日々の出来事から感じたものをひろい集め、それを作品として残していくことを意味しています。忙しい日常の中では見落とされるような、ささやかでありながらも大切なものを共有できる場所となるような展覧会を考えています。

阿部七菜子は版画技法であるリトグラフとリノカットを中心に制作しています。心象風景に登場する人物による架空の物語を通じて、日々の生活を改めて見つめ直すのです。小林紗己は動植物から引き出した柔らかく滑らかなかたちの石彫作品を制作しています。触れることの心地よさを通じて、彫刻の生命力を共有することが目指されます。すずきしほは油彩に布のコラージュを合わせた作品を制作しています。自分が心地よいと感じたかたちや線や色彩を抽象的な画面として構成しています。

7月5日(土) – 8月3日(日)  11:00 – 18:00
休廊日:月・火・水曜日

● 年間スケジュール・記録は、SCHEDULE & ARCHIVE をご覧下さい。
● イベントの記録は、EVENT ARCHIVE をご覧下さい。
● 他の施設も含めた最新情報は、HOME ----- WHAT'S NEW をご覧下さい。
Copyright © 1999 Plaza Gallery